0)前書き


このページは、書いている途中です。

2004年9月18日の第4回全国障害者スポーツ大会「まごころ大会」の専門ボランティア研修会の講演資料を基にして書いています。
研修会で使ったパワーポイントのファイルは、「説明資料」のページにあります。 

1)パソコン要約筆記の歴史とIPtalkから見た近年の動向



2)全国障害者スポーツ大会のパソコン要約筆記の歴史



3)かながわゆめ大会のパソコン要約筆記ボランティアからIPtalk、そして、その後

1998年の第34回全国身体障害者スポーツ大会「かながわ・ゆめ大会」は、開催県がパソコン要約筆記ボランティアを養成する初めての大会でした。私は、その養成講座の講師をすることになりました。当時は、パソコン要約筆記の方法が、今のように確立されていなくて、試行錯誤をしている時代でした。また、前年までの全スポのパソコン要約筆記は、ワープロコンテストでグランプリになった人やパソコンメーカーに勤務している技術者など、専門家が全国から集まって実施していたので、参考になりませんでした。そのような状況だったので、どのように養成し、どのような情報保障をするか、侃侃諤諤、議論百出でとても苦労しました。
このパソコン要約筆記ボランティア養成講座で、応募して来たボランティアの入力速度の遅さをカバーするために、手書きの2人書きを参考にして、2人入力をカリキュラムに採用すべきか検討したことがあります。そのカリキュラム検討用に作ったのが、IPtalkの起源となる、RS232Cを使う2人入力ソフト「talk2」です。しかし、ゆめ大会では2人入力は行わず、養成講座で、そのソフトを使う事はありませんでした。

また、全国持ち回り開催の国体の意義を考え、次のことも行いました。
1)パソコン要約筆記を地元に根付かせる。
国体が終わったら、パソコン要約筆記が無くなってしまうことを懸念しました。このために、ボランティアが大会後も活動できる、受け皿となるサークルを養成講座の講師が中心になって作りました。「パソコン要約筆記サークル」という名前がついてたサークルは全国初ではなかったかと思います。
2)後催県にノウハウを伝承する。
参考にする資料が全く無いのは本当に困りました。後催県に伝えるため、教材を「パソコン要約筆記ボランティア・ハンドブック」という形にまとめました。(これは、私のノスタルジーからIPtalkのホームページに未だに置いてあるのでダウンロードできます。)

今考えると無謀なことを計画したものだと思います。国体という大きなイベントがあったからできたことだと思います。

かながわゆめ大会が無事終わって、サークルでパソコン要約筆記の練習会をしていました。リアルタイム入力のためtalk2を使って2人入力を練習していました。1999年になると、全国各地で、LANを利用した2人入力のソフトを使う事例を聞くようになりました。サークルでも練習に取り入れ様と努力したのですが、そのソフトは使い方が難しく、メンバーから不評でした。それで、「操作が簡単」だったtalk2をLAN用に改良したIPtalkを作りました。それから、サークルも入力の現場に出て行けるようになり、IPtalkを使って情報保障を行いました。しばらくすると「操作が簡単」ということが評判になって、IPtalkを他のサークルの方にも使っていただける様になりました。

この頃、超一流と言われていた入力者の意見を積極的に取り入れて、「プロが使える」実用性を目指しました。これは、サークルで練習しているソフトを超一流の入力者「も」使っていれば、できたばかりで、初心者だけのサークルのみんなの自信につながると考えたからです。

2000年3月に行われた全難聴のパソコン要約筆記指導者養成講座でIPtalkを説明した事で、全国のパソコン要約筆記者に使っていただく事になりました。MLを通じて寄せられる、全国の入力者・利用者の要望で改良・機能追加を続けました。IPtalkは、「パソコン要約筆記」の方法の試行錯誤の実験場のようでした。

だんだんと「操作が簡単」と「機能追加」の両立が難しくなっていました。機能を落として「分かりやすく」することも検討したのですが、それは本末転倒であると考え、ホームページでの情報提供や操作説明、MLによる相談などで、「分かりやすさ」の維持に努力しました。

パソコン要約筆記の方法は、IPtalkの初期に多くの試みが行われ、方法はほぼ確立したとも言われます。しかし、新しい土地に普及することで、利用者、入力者に新しい人が加わり、別の観点からの新しい試みは続いています。そのような新しい試みの実験場としての役割と、「プロが使える」実用性、そして、これが一番大事だと思うのですが、「初心者にやさしいIPtalk」を目標に、これからも努力したいと思います。


4)パソコン要約筆記の実験場「IPtalk」
新しい方法はどのようにして生まれ、どのように広まって行くか?

一般に、パソコン要約筆記の「方法」を話す場合、IPtalkの「機能」名を使って説明します。
新しい方法を試したい時は、それを実現するIPtalkの機能を考え、追加し、名前をつけます。
完成した新しい方法が良ければ、IPtalkの機能名で全国に広まって行きます。
IPtalkは、新しい方法を試す環境を提供すると同時に、方法を説明し普及させる共通言語にもなっています。

(例)OHPの前ロールの「棒指し」にあたるのが、IPtalkの「カラオケ風色変わり表示」機能です。
「カラオケを使う」と言えば、前ロールの発言部分を示すことを意味します。
「カラオケ」というような魅力的な機能名をつけると、試してみるサークルさんが多くなり急速に普及します。