愛媛大学の音声認識とインターネットとIPtalkを用いた講義内容の情報保障
愛媛大学では、聴覚障害を持つ学生への講義内容の情報保障に力を入れています。 大学で用いられている講義保障には,手話通訳,要約筆記,ノートテイクがあります。手話通訳,要約筆記は有償ボランティアとなっていることが多く、聴覚障害学生が増加する中で、大学がそうした有償ボランティアに対し、見合う予算を捻出することは極めて困難な状況になっています。このため、一般に聴覚障害学生に対する講義は同じ大学の学生によって情報保障されるというシステムを採用している大学が多いようです。 しかし,十分に養成されていない学生ボランティアがノートテイクにあたることが多いため、情報量に問題があることが多いそうです。 また,基本的に講義の話す速さに追いついて「書く」ことは困難なため、リアルタイムな情報保障にはならず、「質問ができない」「ディスカッションに加わることができない」という問題があるそうです。 このような問題を解決するために、愛媛大学では、音声認識を使った次のようなシステムを開発し授業に取り入れています。 |
上の写真は、授業の様子です。 先生は、FMマイクを付けて授業をします。その音声をパソコンのフタに貼り付けられたFM受信機が受けて、Yahooメッセンジャで(インターネットで)復唱室に送ります。 復唱室で作られた字幕をIPtalkで表示します。 |
復唱室の様子です。 復唱者は、音声認識用ソフト「VOICE ATOK」を使って字幕を作ります。 修正者は、音声認識した字幕をIPtalkで修正します。 |
上の図は、最初に試した方法です。 即時性を重視して、修正しないまま教室に字幕を送りました。 復唱室に2台のパソコンを置いたのは、「Yahooメッセンジャ」と「VOICE ATOK」が同じパソコンでは同時には動かないからです。 |
上の図は、「重要単語,キーワードに誤変換があるとわかりづらい」という利用者の声で改良したシステムです。 即時性を損なわないように、音声認識の字幕はそのまま表示して、行頭に「>」を入れた訂正文を後で表示しています。 <訂正文の例> お坊さんの身分は世襲制ではなく,科学化というものが進行しなかった. >家学化 |
これは、現在、試行している方法です。 音声認識した結果を修正用パソコンに送り、hシリーズの「確認・修正パレット」で修正を行った上で教室に送っています。 利用者の誤認識・誤変換に対する強い要望から、即時性と正確性とのバランスを試行しているとのことです。 |