2004年7月18日
福岡県久留米市の映画「ぞう列車がやってきた」の字幕

久留米市で上映された「ぞう列車がやってきた」の字幕の様子です。難聴児の保護者の方から主催者の「母と女教師の会」に要望が出て、主催者より字幕付けの依頼があったそうです。「PCくるめ」は、設立してからまだ1年で、映画の字幕も初めてと、「不安の塊」で引き受けたそうです。 利用者(難聴児)が映画も、字幕も無理なく見ることができるように工夫しながらも、「もう2度と字幕はつけない」と言われないために、映画上映の邪魔にならないように非常に気を使ったそうです。

スクリーンの映像の上に重ねて字幕を投影するという方法は、今までに例が無く、配給会社の理解がなければ実現しないと思います。
 
最初は、縦書き3行表示で、スクリーン上に映画画面の横に表示することを考えて前ロールを準備していたのだそうです。しかし、リハーサルの段階で、右に出すのか、左なのかも決定できず、「当日は別にスクリーンが必要になるかも知れない」とか、「最悪、横の壁に出すようになるかもしれない」というような情況だったのだそうです。そこで、縦書き、横書き、右左にかかわらず、臨機応変に対応できるようにしておいたほうがいいと、覚悟を決めて本番に臨んだそうです。
そして、本番当日の会場のスクリーンははるかに大きく、横に出す事は暗幕の関係で無理という最悪の状況だったのですが、映画画面にダブらせて出しても良いと映画配給会社の許可が出て字幕が実現したのだそうです。
本番当日の上映は3回で、3回目だけに字幕を入れることになっていたので、1回目、2回目で1人が前ロールの訂正、もう1人は出すタイミングを練習したそうです。そして、3回目の本番では大きな失敗もなく、無事終えることが出来、ほっとしたとのことです。(よかった〜!(^^)パチパチ! )
 
前ロールは、テンプレート前ロールで流し、表示は、1送信を一気に表示する「静止型表示」を使っています。黒背景の白文字で、48ポイントの4行×12桁です。
利用者の5年生が習っていない漢字はひらがなに直す。セリフの前に登場人物の名前を入れる。笑い声や擬音、物の音もできるだけ入れる。映像に現れない人物の声の時には(○○の声)をセリフの前に入れて表現するなどの工夫をしたそうです。
上映後、難聴児の保護者の方から、「私は、字幕に感動しました。まさか、あそこまで本格的に分かり易くしてもらえるとは思わなかったのでびっくりしました。」と感想をいただいたそうです。
最初は、字幕を入れることに消極的だった映画配給会社の方も、本番当日はとても協力的で、上映後には、「字幕が欲しい時には連絡します」と言っていただいたそうです。
 
会場は固定席で1085席、最前列にプロジェクターと入力席を設置しています。難聴児席は、字幕と映像が見やすい前に確保しています。
プロジェクター: EPSON ELPー730
表示用パソコン:NEC LaVieL LL700/3
表示用IPtalk:9s65、前ロール用IPtalk:9i33
前ロール作成時間:
シナリオ入力は4人で2時間。その後は1人で2時間くらい掛けて、まとめたり体裁を整え、当日2回の上映時にシナリオと違うところを訂正し、効果音を入れた。
  
画像と説明は、パソコン要約筆記の会「PCくるめ」の江嵜さんと橋本さんに提供していただきました。