2006年10月14日〜16日
兵庫県の「第6回全国障害者スポーツ大会」(のじぎく兵庫大会)
1)開会式のパソコン要約筆記の様子


10月14日(土)から16日(月)に兵庫県で「第6回全国障害者スポーツ大会」のじぎく兵庫大会が開催されました。
写真は、入力席から見たユニバー記念競技場の全景です。東側(左)と西側(右)の両方に大型ビジョンがあります。
 
会場東側の大型ビジョンは、横の長さが通常の2倍の大きさがあります。このため、画面の左半分をライブ映像、右半分を情報保障に割り当てています。パソコン要約筆記の字幕は、6行×8桁と充分な領域を取ることができています。会場西側の大型ビジョンは、横の長さが通常の大きさのため、右半分の情報保障の画面を表示していました。
 
入力席は、放送席などと同じフロアーにあるので大型ビジョンを直接見ることができます。表示機と大型ビジョンのモニターを窓際に置いてあります。机を窓に対して縦に置き、全員が会場や表示機を見ることができるレイアウトを取っています。
  
班は、リアル入力班と前ロール班に分かれています。各班にリーダーがいて進行に合わせて指示をします。さらに全体の進行をチェックし指示するディレクター(表示指示、切替担当)を置いています。
 
パソコン要約筆記は、表示用パソコンの切替器までを担当しています。リアルタイム班と前ロール班は、「全員に送信」のチェックを入れて入力を同じ表示機に表示させています。切替器は、トラブル時に予備器に切り替えるためと、「君が代」の前ロール専用表示機に切り替える時に使います。
切替器を業者ではなくてパソコン要約筆記が担当するのは、のじぎく大会の特徴の一つです。
 
「君が代」の歌詞前ロールは、文字数が少ないためスクロールさせず、「国歌斉唱」のタイミングで一気に表示するようにしています。「テンプレート前ロール」の「ロール1スライド風」を使えば、一気に表示することもできますが、「君が代」歌詞前ロール専用パソコンを置き、歌詞を最初から表示しておき表示を切り替えることで、前ロール班の煩雑な操作を省略できます。
 
開会式の入力の主役は前ロール班です。前ロールを流す人以外も、話と原稿が違わないかチェックする人、違っていた場合に素早く修正する人など、タイミング良く正確な字幕を流すにはチームワークが必要です。直前まで最終原稿が届かない場合もあり、大会事務局に交渉するなどリーダーの役割も重要です。
 
「皇太子殿下のおことば」の前ロール流しは、ミスが許されないことはもちろん、表示のタイミングなど非常に緊張する入力です。
パソコン要約筆記が始まった頃(98年の神奈川ゆめ大会の頃など)は、手話のみで字幕は付けさせていただけませんでした。この数年の大会で字幕が付くのが当たり前になったのは、パソコン要約筆記が認められた証しと思います。
  
手書きの要約筆記に感動しました。
全国障害者スポーツ大会で開会式に手書きの前ロールをつけたのは初めてだと思います。ダンボール箱に何箱もスケッチブック(後で聞いた話では50冊だったそうです。)を運び込んでいました。膨大な量の前ロールにもビックリしたのですが、前ロールの字を見て、その綺麗さに2度ビックリしました。最初は、ワープロで印刷したものを拡大コピーしたのかと思いました。
パソコン要約筆記の利点に「字が綺麗」ということが良く言われますが、手書きの人がその気になれば、前ロールに関しては差は無いと感じました。
イーゼルにスケッチブックの前ロール、とてもお洒落で良いアイデアと思いました。
 
画像と図は、栗田が撮影・作成しました。