2008年11月15日
四日市市難聴者友の会10周年記念式典
「落語にパソコン要約筆記を」
PCシエル
PCシエル 稲岡張実 | |
「落語」にパソコン要約筆記を付けるという試みは、四日市ではもちろん県内、東海でも初めてのことでした。正直、パソコン要約筆記でできるのかと思いました。五尺坊 申志(ごしゃくぼう しんじ)さんから原稿をご提供いただけると聞いて少し安堵していました。ですが、原稿を見たとき、もうダメだと思ったくらい膨大な文字数の原稿でした。これを、どうやってパソコン要約筆記としてスクリーンに表示すればよいのかと考え込んでしまいました。 そこで、まず考えたのが、原稿は大阪弁でしたので標準語に書き換えました。そして、ケバ取り、文章の校正をし、3分の1くらいまで文字数を減らしました。ですが、落語の喋る速さに対応するには、まだ文字数が多すぎます。もっと、要約する必要があります。ですが、これ以上要約すると、今度は話の内容が解らなくなります。考え込みました。 第1回目の打合せに五尺坊 申志さんも来ていただき、編集後の原稿と喋る速さを比較してみました。スクリーンに流れる文字は、とても読めるものではありませんでした。また、考え込みました。もっと文字数を減らして、要約する必要があると思いましたが、これ以上、要約することはできないので、思いついたのは、意味を同じにして、表示する言葉を置き換える。いつも、パソコン要約筆記の現場でやっていることです。原稿を何度も何度も読み、まずこの落語の内容と、最後の「オチ」を結びつける工夫をしました。 登場人物の台詞は、1行で完結する。1行は15文字に設定してあるので、15文字で意味のわかる言葉にしました。そして、行間の工夫です。先の台詞と、次の台詞が丁度良い感覚で読めるように、いつもの現場より行間を微妙に広く設定しました。そして、解説は、2行で完結という工夫です。それでも、スクリーン表示は最大7行に設定しているので足りない解説が出てきました。スクリーンに7行溜まったときに全体の意味がわかる。8行目が必要な場面では、スクリーンの上部に流れるテロップ表示を使いました。流れる速さは、現在表示されている7行の邪魔にならずに読める速さで流しました。そして、全ての文字が1色では、何が何だかわかりません。 次に工夫したのが、登場人物を色分けしようと考えました。その説明を、午後の司会者(伊藤満さん)にお願いして次のように説明していただきました。 |
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そして、完成した事前ファイルを11月13日(木)の夜に、最終確認をしました。それでも、まだ、話す速さについていけません。 11月14日(金)は、完成した事前ファイルの検証に、終日かかかりました。何度も何度も「IPtalk」の画面で検証し、納得のいかない部分には、さらに工夫を重ねました。そして、色の出方はパソコンとプロジェクターでは違うので自宅の壁に映して確認しました。 |
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当日(15日)、五尺坊 申志さんと、最終打合せをしたとき、
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最後に、五尺坊 申志さんがパソコン要約筆記者席に来てくださって、「よかったよ、うまく表示できましたね。」と言っていただき、本当に苦労した甲斐がありました。連日の徹夜の苦労が報われた一日でした。 五尺坊
申志さんの協力とPCシエルのチームワークで完成した、大成功の落語のパソコン要約筆記でした。 ご支援、ご協力いただきました四難友の会の皆さまに心からお礼申し上げます。 今後も四難友の会をお洒落に企画して、PCシエルに次の課題(難題)をくださいね。(笑) |
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