2009年05月30日
「マリと子犬の物語」上映会

城陽要約筆記サークル「ダンボ」


5月30日、城陽要約筆記サークル「ダンボ」では、「マリと子犬の物語」を字幕付きで上映しました。
この上映会は、2008年11月26日に大阪の新阪急ホテルでいただいた「第34回産経市民の福祉賞」の副賞の賞金を使いました。
 
映画の選定、字幕作成など自主上映会に関わるすべてを、サークル内のパソコン部(部員7名)で行いました。
映画は回想シーンなど時間の前後の少ないもの、多くの人が亡くならないもの、年齢層に関わらないもの、と作品を絞りました。
「マリと子犬の物語」に決定したのは12月中旬。短期間に多くの候補作品を見て、事前にかなり疲れました。
年明けとともに、字幕の表示設定を決め、7名で分担して字幕をテキストに入力。パソコン部の練習時間をすべて、字幕の内容チェックとポスター・チケット作成、社協との交渉などに使う。
4月上旬には、時間設定を保存して最終チェックに入る。
サークル内での試写会も行いました。

上の写真は、上映の後に、上映会に至るまでの説明をした時の字幕です。(IPtalkに画像をつけました)
 
整理券を作成し、市内障害者団体や、ボランティアサークルなど配布後、市の社協が窓口となり、一般市民にも整理券配布しました。そのため、一般市民の観客も多く参加しました。

スクリーンの設定は以下のように行いました。
@7メートルのスクリーン中心に画像を映写
A画像の右端すぐのところに字幕を映写
B字幕は縦2行、文字はシネキャプションを使用
C1行のみ表示の際は、映画の画像に近いところに表示できるように、空行を挿入した
D背景は黒色、文字色は白色
E時間表示を保存したので、上映会本番ではスタートを1回押しただけ

写真は、上映会前の注意事項説明しているところです。
約250人の来場者があり、客席は満員でした。
 
上映会では、以下の機器類を使用しました。
@上映用DVDプレーヤー(Avox Acp 500R)
A挨拶・上映会に至るまでの説明などパソコン要約筆記用のパソコン(入力2台、表示1台)
B@Aを接続したプロジェクター(SONY VPL-EX50)
C字幕用パソコン(自動送信用1台、表示用1台)
DCを接続したプロジェクター(SANYO LP-XU51(S) )
 
苦労したこと、エピソードなど
・IPtalkに初めて画像をつけた:
上映前の要約筆記では、授賞式の画像をつけて説明した。なかなか画像が表示用に送信されず苦労した。本番は無事に表示された。
・地震のシーンの字幕の表記:
当初は音や様子が変わるごとにスライドを作成したが、映画に集中してほしい場面なので、(地鳴り)(ガラスの割れる音)(粉砕音)(悲鳴)など、なるべく少ない文字で表現した。
・文字色を変えた:
台詞のある人物が映像に映っていない場合や、ナレーションは文字色を薄い黄色にした。(斜文字は縦書きでは違いが分かりづらいので)
・同じ台詞が10回くらい続く:
子どもを探す場面・犬を探す場面で、同じ台詞(名前を呼ぶ)が続くので、本番に手動送信するのは無理と判断し、自動送信に挑戦した。
・最終チェックは一人で:
同じような場面や台詞でも、入力者によって少しずつ異なるので、最終のチェックと時間設定保存は一人で行った。何度も映画を見て、字幕の編集をして、とっても疲れました。
 
アンケート協力は来場者の7割もあり、回収率の高さから評価は上々と判断し、半年の苦労は吹き飛びました。
「映画終了後照明が点いても余韻に」「要約筆記を初めて知った」「また字幕を付けて」「市の宝」とまで書いていただきました。
一番の回答は「映画が良かった」でした。子どもと動物が主人公の映画に救われました。

多くの市民の観客の方々は、要約筆記を見るのも初めてのようでした。
これを機会に、一人でも要約筆記の存在を知っていただき、聴覚障害、また各障害者への理解が広がれば、優しい街になるだろうと思います。
 
写真は、字幕自動送信用パソコン


写真と文は、城陽要約筆記サークル「ダンボ」の山 口さんに提供していただきました。